中国・アジア情報

【中国・緊急リスク情報】天津爆発による化学物質の飛散・雨水汚染リスクから身を守ろう

配信:2015-08-16

 天津大爆発の後続リスク。有毒有害化学物質の飛散や雨水による拡散、二次被害や三次被害につながる後続リスクについて、日本当局からほとんど迅速かつ適格な情報が確認されていない。現地在住邦人の身の安全、健康への影響、リスク管理はどうなっているのか。

 天津大爆発を受け、北京の日本大使館が中国当局発表の情報をそのまま転載して通達した(以下3参照)が、実務的なガイドラインたる注意事項になっていない。さらに、某日本人会関係者がFB上で、「取り敢えず心配いらない」との発言もあった。極めて軽率な言論である。果たしていまは、「心配いらない状態」といえるのだろうか。少なくとも「注意喚起」ではないだろうか。

1.グリーンピースの発表(http://energydesk.greenpeace.org/2015/08/13/tianjin-latest-chinese-chemical-plant-explosion-risks-massive-health-impacts/)

 国際環境NGOグリーンピースの発表。要点を次にまとめる――。

 (1) 現時一連のデータはいずれも当局が発表したもので、信憑性等未検証の部分も多い。
 (2) 降雨による有毒有害化学物質汚染の拡散リスクがある。
 (3) 給水系統や生態系への影響、そして化学物質が爆発の燃焼によって燃えきったかどうかも確認されていない。

2.在北京米国大使館発と思われる情報

 一部の情報ソースでは、「在北京米国大使館から警告を発せられた」と報じられ、その英語原文を以下転載し、和訳要点も併載する。(米大使館の公式発表は確認されていないが、リスク管理面では、その内容は日本大使館発のものよりもはるかに実務に則し的確かつ有益と思われるため、転載する)

 (1) とにかく、雨に濡れないように、雨が肌に触れないようにすること。
 (2) 雨が衣服に付着した場合、ただちにそれを洗い落とし、人間はシャワーを浴びること。
 (3) ペットを降雨区域に絶対に入らせないこと。雨に濡れた地面に接触させないこと。それができなかったとき、直ちにペットを洗浄すること。
 (4) 雨水に接触したあと、必ず傘を徹底的に洗浄すること。
 (5) 天津爆発の完全なる消火が確認されてから10日間のあいだ、上記を厳守すること。

From American embassy
For your information and consideration for action. First rain expected today or tonight. Avoid ALL contact with skin. If on clothing, remove and wash as soon as possible, and also shower yourself. Avoid pets coming into contact with rains, or wet ground, and wash them immediately if they do. Rinse umbrellas thoroughly in your bath or shower once inside, following contact with rain. Exercise caution for any rains until all fires in Tianjin are extinguished and for the period 10 days following. These steps are for you to be as safe as possible, since we are not completely sure what might be in the air. Remember the brave firefighters and their families, along with all those suffering from the accident in Tianjin. Stand strong together China!

3.在北京日本大使館の通達

天津市濱海新区における爆発事故による環境影響について(お知らせ) 
2015年8月14日 在中国日本国大使館

 天津市濱海新区の危険化学品倉庫にて8月12日深夜に発生した火災・爆発事故について、中国環境当局が発表した環境影響に関する情報を下記の通りお知らせします。
 ○事故発生後、西南風が続くことから大気汚染物質は渤海方面に拡散しており、天津市中心部や北京への環境影響のおそれはない。
 ○事故現場の風下における大気監測の結果、トルエンやVOCsにつき基準超過が見られた(※)が、緩やかな下降傾向にある。
 ○事故現場周辺の5地点の大気環境モニタリングステーションにおいては、6つの汚染物質について影響が見られていない(PM2.5、PM10、一酸化炭素、二酸化硫黄、二酸化炭素、オゾン)。
 ○水環境汚染について、事故発生後に事故現場における海洋への排水口は全て封鎖しており、水環境への影響はない。排水口内の水を検査した結果、基準を上回るシアン化合物等が検出されたが、当該汚染水は汚水処理場での処理が想定されている。
 ※ 13日朝5:30時点で、トルエン3.7ミリグラム/m3(中国の大気汚染物質総合排出基準では排出濃度限界値は2.4ミリグラム/m3)、VOCs(揮発性有機化合物)は5.7ミリグラム/m3(中国の工業企業VOCs排出基準では排出濃度限界値は2.0ミリグラム/m3)。