中国・アジア情報
【中国】米中首脳会談はどうなるか、朝鮮半島3つのシナリオ
明日から始まるトランプ大統領と習近平主席の米中首脳会談。筆頭に上がるアジェンダは北朝鮮問題。どのような結論が出るかよって今後のアジア情勢、特に日中韓を含む北東アジア情勢が大きく変わる。
3つのシナリオが描ける――。
1つ目。習主席がトランプ大統領の要求を受け入れ、中国は対北全面経済制裁を実施。特に石油の全面禁輸で北朝鮮を屈服させ、北の核開発の停止という一応中期的成果を引き出す。ただこれは金正恩の出方にかかっている。本日早朝またもやミサイルを打ち上げた金はもはや米中首脳会談にある種のメッセージを送り付けている。いわゆる最善というこのシナリオの実現可能性は極めて低いと言わざるを得ない。
2つ目。習主席はトランプ大統領の要求を一部受け入れながらも、結局面従腹背、本気で約束を果たさず、結果的に問題をこじらせる。これは「走一歩、看一歩」つまり「様子を見ながら出方を変えていく」という中国が得意とする引き伸ばし戦略である。
上記の2つのシナリオはさらに変化要素が加わる。それは5月9日の大統領選で誕生する韓国の新政権である。予想通り極左親北の文政権が誕生した場合、事態が思わぬ方向へ発展する可能性も出てくる。様子見の中国は経済カードを切り対韓関係の改善に乗り出せば、文政権の思惑も一致する。そういう展開を引き出すためにも、中国は朴時代において中韓関係を最悪にしておく必要があった。中国はそうした。
ここで中韓が共同陣営を組み、金正恩政権の延命保証を条件に北との取引交渉を進める。場合によって何らかの形で朝鮮半島の統一もあり得る。その場合は米軍は半島からの撤退を余儀なくされ、韓国が同盟国を脱退し、中国が朝鮮半島の「宗主国」に躍り出る。これが中国にとって最善シナリオである。
半島の統合。民族自決という大義名分が立てば、米国は武力行使できなくなる。その場合、日本列島が最終防衛線となるため、日本は改憲だけでなく、再軍備と核武装も米国の支持の元で推進せざるを得なくなる。
そして、3つ目のシナリオ。トランプ大統領の要求を中国が拒否した場合。それは周知の通り、米中首脳会談は実質的「戦争通告」の場となり、半島有事も現実味を帯びてくる。ただこの場合は、必ずしも米中の喧嘩別れになるとは限らない。中国は米の軍事介入を容認する代わり、「新・38度線」の約束を取り付けることもあり得る。換言すれば、米中首脳会談は戦後の「新・ヤルタ会談」になる。